夏 色 の 風





「何があったんだ?」


ギクリ、音が聞こえてきそうなほど

直之はあからさまに身を固くした。


「告白したんだな?」


その反応がおかしくて、

俺はニヤニヤ笑いながら

直之に詰め寄った。


「おいおい、どうなんだよ」


結果の想像がつかない訳じゃないが、

円香は優しいから、もしかしたら

もあるかもしれないと期待した。




「…うるせぇよ、告白されたくせに」


「…知ってたの」


「当たり前だろうが。バーカ。

ちゃんと告白しましたよ」




知ってて告白したんだろうか。

だとしたら直之は相当強者だ。




「結果は見ての通り、ダメでしたよ。

まぁったく、片想いしてた相手が

まぁーさかお前が好きとはねぇ。

必死になってた俺が馬鹿みたいじゃん」


「ゴ…ゴメン?」


謝っていいことなのか分からず、

とりあえず口に出す。

俺のしたこと、言ったことは

最低なんじゃないか。

友達にしてはいけないことを

したんじゃないかと思った。




「なぁに、ベソかきそうな

顔してんだよ!本当に馬鹿だな!

俺は全然気にしてない。

それに、お前に言ったって仕方ないよ。

円香がお前を好きになったのも、

俺が円香を好きになったのも、

誰かのせいなんかじゃないんだ。

人の気持ちなんて誰にも分からないだろ?」


正論だと思って頷く。


「円香から伝言頼まれたから。

"ナエちゃんと上手くいかないと

藁人形作って呪ってやる!!"だと」


怖っ!!!

なんでそうなる?!


「はっはっはー、まぁ、

そんな訳で俺と円香は

"亮佑と早苗くっつけ隊"だ!

覚悟しとけよ!!」


「なんだそれーっ!!?

俺は別にくっつきたいとか、

そういうんじゃなくて…ただ」


「言い訳無用だ馬鹿野郎ー!」




何故か直之がくっついてきた。

男に抱擁されても嬉しくねー!!