夏 色 の 風





「じゃあ、みんな揃ったし

アレをやりましょうか」




パンっと手を打って、

ばあちゃんが顔を少し傾げて言う。

ぁあ、うちの母親そっくり。

親子って似るんだな…




「アレって?」


どうでもいいところが気になった俺に対し、

直之が質問する。

確かに、"アレ"ってなんだろう?




廊下からドタバタ音がして、

早苗がまた現れた。


「アレをするのね!手伝う!」


きゃっきゃと2人で台所に向かう。

樽澤さんはばあちゃんに一声かけてから

現像があるので先に帰る、と

帰って行ってしまった。




取り残された俺たちは、

何をしていいのか分からず、

とりあえず着替えることにして

部屋に戻った。




俺の後から部屋に入った直之は、

廊下に誰もいないか確認して

扉をきちんと閉めた。

その反応から、

『円香と何かあったな…』

簡単に察しがつく。