家の中に入り、居間に行くと

ばあちゃんと樽澤さんが心配そうな

顔で待っていた。

瞬間、パッと手を離される。




「早苗に聞いたよ…

大丈夫だったかい?亮ちゃん…」


「んぁー、大丈夫!大丈夫!」


「やるじゃねぇか、亮佑ぇ!

女の子を逃がすなんて!

俺ぁ、お前のこと"都会モン"だと

ちっとばかし馬鹿にしてたが

見直したぜぇ!」


樽澤さんはすでにできあがっていて

顔を真っ赤にしながら俺の肩を叩いた。




"都会モン"って…。

俺、そんな目で見られてたのか…。




ショックだが、

見直したって言ってくれてたし

少し晴れやかな気持ちになる。




『女の子を逃がす』っていうか、

早苗が勝手に逃げてったんですが。

アハハ〜と笑ってごまかす。




その間に早苗が救急箱を

持って来てくれてて、

脱脂綿に消毒液を垂らしている。




あぁ、見ただけで

"痛い"と分かる…




「先に傷を洗わなくていいの?」


ちょっぴり抵抗してみる。


「こういうのは、消毒液で

傷を洗ったほうがいいのよ。

水で洗うとばい菌が入るって

聞いたことある」


"聞いたことある"ことを

俺の身体で実践しないでくれ!




騒ぎたくても、ばあちゃんと樽澤さんに

じーっと見られている状況のため、

騒ぐに騒げない。




「いっったぁあー!!!!」


「我慢しなさい!」






ぁあ、傷口が染みるぜ…。