3人組から解放され、

早苗に電話で道案内を頼み、

やっと家に帰ってこれた。




早苗は門の前で元気に笑顔で

大きく手を振っている。




「さぁなぁえぇぇ」


渾身の低い声で、早苗に迫る。

早苗は苦笑いをしながら、

まぁまぁと俺を宥めた。


「2人とも無事だったんだから、

よかったじゃない。ね?」




ちゃっかり部屋着に着替え済みで

髪もいつものように背中に流している。

俺は必死に逃げて、捕まって、

やっと家に帰って来れたのに。




でも…「ね?」が可愛かったから許そう。




「お前俺を囮にしただろ」


「んな訳ないじゃないのー!オホホホ」


嘘つくの下手過ぎ。

ぷっ、と笑ってしまった。


「なんで笑うのよー…って!!馬鹿!

怪我してるじゃない!」


「え?どこ…」


「ここっ!」


早苗の手が伸びてきて、

俺の頬と唇の端を優しく触った。

緊張からか、そんなに痛みはなかったが

触られるとズキンと痛みが走る。




「痛…」


「膝も擦りむいてるじゃない…

ほら、早く手当してあげる」




不覚にも、早苗が触れた部分が

痛みとは別の熱をもつ。

ドッキン、ドッキン心臓痛いし…




そこに更なるダメージ。

早苗が俺と手を重ね、

『ほら、早く!』と引っ張る。




…これって

…手を繋いでますよね?

ヤメテー!俺の心臓を破壊する気かぁあ!




自分で分かるほど真っ赤な顔で

大人しく早苗に引っ張られるまま

後に続いた。