夏 色 の 風





最後の花火が終わったとき、

円香はため息をついた。

まだ花火の余韻が残っていて

待っていればもう1発くらい

上がるんじゃないかと期待してしまう。




自分から言い出したくせに、

俺は今ものすごくテンパっている。

何から言えばいいのか、とか

どう伝えたらいいのか、とか。

例え結果が分かっていても

きちんと告白したいんだ。




「終わっちゃった…」


円香がぽつりと呟いた。

俺は黙って頷いて、

空から円香の横顔に視線を移す。




「聞くよ、話し。

ここでもいい?」


「うん。構わない」




いつものおちゃらけた俺は何処へやら。

緊張からなのか、一気に

真面目モード・オンだ。




「…何の話し?」


「聞かなくても、

予想ついてるんじゃない?」




ビクリ、と身体を震わせて

『さぁー、何かしらねーぇ』と

しらばっくれる円香。




それを拒絶と捉えると、

なんだか自分が可哀相に思える。