夏 色 の 風





その言葉があったから、

とは言わないけど

俺はきちんと気持ちに折り合いを

つけるつもりだ。




むしゃくしゃした気持ちを

このまま持って帰ったら、

きっと亮佑との仲もぎくしゃくしてしまう。




そんな自分勝手なことは

出来ないと分かっている。




ひゅるるるるる〜…

ドン――パっ……




『ひゅひゅひゅ』


また口笛に挑戦する円香に嫌味を言う。

結果は分かっているから。

もう、この際嫌われたって構わない。




「なぁ、円香。

話しがあるんだけど」


「…改まっちゃって。

花火が終わったら、話そう」




円香は俺を見ることなく、

花火がキラキラ輝くのを

ただじっと見ていた。

俺も隣で、同じように

花火をじっと見つめた。