ひゅるるるるる…

ドン!――パー……





空には、金色の大きな花火が

打ち上がる。

それを目の前で見て、

俺は『ひゅー!』と口笛を吹いた。




「ぁ、すごい!口笛出来んの?」


「は?お前出来ねぇの?」


「"女の子でしょ!

やめなさい、みっともない!"

って言われて育ってきたもんですから。

ばあちゃんが特に口うるさいの」




ムスッとした顔で言うと、

また花火に視線を移した。

花火が打ち上がると、口笛の真似なのか

『ひゅひゅひゅ』っと音を立てる。




「あー、やっぱり出来ない!」


「ははっ!"女の子でしょ、はしたない"」


「もぅ、ハルばあちゃんみたいなこと

言わないでよ!直之のくせにぃ」




直之のくせに、と言われて

俺は少し凹む。

なんだよ、じゃあ亮佑だったら

いいのかよ…。










俺と円香は、2人がチンピラに

追われて逃げたあと、

マンションの屋上に戻った。

ここが安全だし、2人もいずれ

撒いて戻ってくるかもしれない。




最前列はもう誰かが座っていたため

後ろから2列目の席に座った。

人の頭が邪魔と言えば邪魔だけど

花火が綺麗に見える。