夏 色 の 風





突然笑うのをやめ、

ずいっと金髪1が俺を覗きこむ。




一瞬薄まった緊張感はさらに

ヒートアップした。




「なぁ」


「ははは、はいっ」


上手く呂律が回らない。


「1つ質問していい?」


「ななな、なんでしょうかっ」


気分は軍隊の上官にいびられる下っ端だ。


「あの、お高く気取った女の

どこがいいの?結構胸でかいとか?」


「あー、分かるーぅ。

浴衣だから分からなかったけど

スタイル良さそう」


だよな、だよな!と盛り上がる2人。




確かに早苗はスタイルがいい。

顔も綺麗に整ってるし、

円香いわくファンクラブまで存在する。

あれで性格がもうちょっと

どうにかなっていれば…最高。




「あいつは…まぁ、

スタイルも顔もいいけど…」


興味津々に顔を近付ける2人。



「あれで結構優しいし…。

というか、あのツンツンした感じが

たまにデレるといいっていうか…」


何を言ってるんだ、俺!

『俺、ドMです☆キャハ』

って言ってるようなもんだ…




だが意外にも、金髪1は

自分の脳内で妄想したのか

「おぉ…分かる気がする…」

と呟いている。




「あの、それを聞いて

どうしたいんですか?

まさか、まだ狙ってるんじゃ…」


「ぁー、いや。ただの興味だから。

そっかそっかぁ〜。

亮佑もいい女捕まえたなぁ」




まるで昔からの知り合いみたいに言う。

しかも、近所の兄ちゃん風だ。

だけど悪い気はしなかった。

金髪1と茶髪に対する恐怖感も、

消えたわけじゃないけどあまりない。