夏 色 の 風





「ごめんなさい、ごめんなさい、

ごめんなさい、ごめんなさい、

ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃ」




さっきから、地面に土下座して

これしか言っていない。




不機嫌そうに…というか確実に不機嫌な

金髪1と茶髪は仁王立ちで俺を見下ろした。




俺は、あっさり捕まって

普段は誰も出入りしなさそうな

雑木林のケモノ道を少し入った所まで

首根っこを捕まれて引きずられて来た。




ここは暗くて、

30m程先にあるLEDの街灯の光が

やっと届いている程度だった。




「ごめんなさい、ごめんなさい、

ごめんなさい、ごめんなさい、

ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃ」


「うるせぇよ、黙れ!」


ガツン、と鈍い音と同時に

横に吹っ飛ばされた。

口の端から血が流れて、

頬がジンジンした。

違う意味で今は口の中に

血の味が広がっている。




クソっ、もう最悪だ……

俺、殺されちゃうかもしれない。


このままここで殺されても

発見は1週間後になりそうだ。

もしかしたら、ひょっとして

帰宅しない俺を早苗たちが心配して

探してくれるかもしれないが。

期待はしないでおく。




俺のビビった顔に味を占めたのか、

茶髪が目をギラギラさせて

俺を殴ろうと構える。


「ひぃぃ!」


情けない声しか出ない俺は、

顔と頭を守ろうと身を丸めて

腕で頭をガードする。




「おい、止めろよ」


意外にも、止めてくれたのは

金髪1だった。