夏 色 の 風





どう見ても、後ろから追ってくる3人は

10代後半〜20代後半だ。

"おっさん"の定義にはよるだろうが

少なくとも俺の定義ではまだ3人は

"お兄さん"だ。







なんで早苗を喋らせたのか…

走る俺の額には汗。

そして目からもじんわり涙が滲む。

ぁあ、視界がぼけるぜ…。




「亮佑、亮佑ってば!」


後ろを走る問題の張本人は

俺の腕を叩き、小さな声で

妙案があると自慢げに言った。




「二手に分かれましょう。

そしたら、2人と1人に分かれるはず…

いつまでも2人で逃げてるより、

効率的でしょう?あとは適当に撒いて、

ばあちゃん家に集合ね!」




ひとつの案だと思って聞いていた俺は、

突然、早苗に腕を振りほどかれた。

驚いて立ち止まろうとすると、

早苗はウインクを一つ残し、

下駄と浴衣であるということを

忘れさせるくらいの速さで駆けて行った。




まさか、本当に実行するとは。

早苗の思惑は当たり、

俺に2人、早苗を金髪2が追った。




確かに2人と1人に分かれた…が。

悪いことしてないのに、

ただ逃げてるだけなのに、

なんで俺に2人つくんだよ!!




まぁ、早苗は相手1人だし

見たところ足も速そうだし、

頭いいから機転も利くだろう。

早苗が無事ならそれでいいけど…。




とりあえず、俺がもし

無事にばあちゃん家に帰れなかったら

枕元に立ってやるから覚悟しとけ!