直之と早苗が食べ物を買って来たあと。
また花火が始まったのと、ほぼ同時に。
『あ…』
『あ゙ぁ?』
おそらく帰る途中だったろう3人組と
鉢合わせしてしまった。
『テメーら、さっきの!
よくも逃げやがったなクソ餓鬼ぃ』
ひぃぃ、と背筋がピンとなる俺に対し、
やっぱりというか、なんというか。
早苗が爆弾を放った。
『たった餓鬼2人も
捕まえられないなんて…
歳なのよ、おっさん』
――ピシィ………!!
場が凍る音がした。
直之と円香も、額から大量の汗をかき
知らん顔をして背を向け、
『いやー、花火綺麗だね』
『食べ物も美味しいねー』
と最初からまるで2人だったかのように
その場を離れて行った。
顔を真っ赤にして
涙を目にいっぱい溜めてた円香は…
一体どこに行ったんだ?!
さっきの告白は?ねぇ、ちょっと!
…と叫びたくなる心の声をなんとか堪え
関係ない2人を逃がすために、
また早苗の腕を掴んで2人とは
反対方向に全力ダッシュした。
…そして、今に至る。