夏 色 の 風





「食後のスイカ、食べる?」




寝転んで携帯をいじってた俺を

上から見下ろす早苗。

その手にはスイカが握られ、

彼女はもう食し始めている。




「んー、あー貰うわ」




起き上がって、ばあちゃんが

居間に運んできた皿から

1番大きなスイカを取る。




が。




「ちょっと、ダメよそれは」


「なんで?」


「あたし、スイカ好きなの。

それはあたしが目をつけてたんだから

横取りなんて許さないわ」




意味が分からん…

お前今食べてるじゃん!




「まぁまぁ、まだ切ればあるんだから

喧嘩はしないで、ね?」




両者睨み合い……。




「あ」


「え?」




早苗の、単純かつ効果絶大な

『あ』により、俺はよそ見をする。

その隙に、早苗はまんまと

スイカを横取りし、美味しそうに

かぶりついた。




や、やられた…

穴があったら入りたいくらいの

恥ずかしさだ…




仕方なく、俺は小さめのスイカで我慢した。

甘くて、冷たくて、とても美味しいスイカ。




だからこそやっぱり…

でかいのがよかった…!くそう。