「やべぇぇぇぇ」
「いやぁぁぁあ」
俺はまだ、走っていた。
円香との追い掛けっこではない。
さっきの、早苗をナンパしようとして
怒った早苗にこてんぱんに言われて
逆ギレしていた男3人組だ。
ちょっと背の高い金髪1、
見るからにチャラい金髪2、
ちょっといい男茶髪1だ。
そして3人とも頭悪そう。
俺が言うなって話しだけど!
金髪1は物凄い形相で叫んだ。
「待てこら゙ぁぁぁぁ!!」
金髪2も呼応して「ゔぉぉらぁぁ」と唸る。
そんなの相手に……
待つわけない!
待つわけがない!
俺は再び、早苗の腕を掴んで
全力ダッシュしている。
逃げるが勝ち…逃げるが勝ち…
逃げるのも勇気…逃げるのも勇気…
俺の折れかけの心を
がっちり支えてくれている言葉だ。