またか、と思い
引っ張られるまま
円香の隣に移動した。
「あのなぁ、円香。
別に引っ張るのはいいんだけど…。
何?直之への当てつけなの?」
俺、あんまりベタベタされるの
好きじゃないんですけど…。
それなのにこの異常なスキンシップは
さすがに引いてしまう。
もしかすると、と思って
核心をついた一言を発してみる。
「円香ってさ、実は直之が
"好き"だったり…するんじゃねーの?」
そう考えれば全て納得だ。
くそぅ、なんだよ。
なんだかんだで両想いだった訳だ。
おめでとう
直之、案外サクッとシンプルな
告白でいいと思うぞ?
congratulation!!!
(これくらいの英単語は知ってるぜ!)
「……の」
一人舞い上がってる俺に、
円香は下を向いてぼそぼそ言った。
聞き取れなくて、顔を近づける。
「え?ごめん、もう一回……!?」
最後まで言うことは出来なかった。
夜店の光がうっすらと届く河原で、
真っ赤な顔をした円香の顔が
目の前にあった。
ぁあ、そうか。
これが俗に言う……キスなんだ。

