夜店から離れて、

少し落ち着ける場所に腰掛ける。




円香は慣れない下駄のせいで

足が痛いと訴えるし、

直之は腹減ったと言い続けている。

早苗は早苗で、疲れたのか眠いのか

ぼーっとしていた。




「これから…どうしようね?」


花火大会は、あと一部を残すだけとなり

時間も9時近いので、人もさっきより

だいぶ落ち着いている。


そろそろ"お開き"も近いかな…と思うが

直之の告白がまだ済んでいない。




どうしようか…。

頭を悩ませていると、

直之が立ち上がった。


「何か食べ物買って来る」


「ぁ、じゃあ俺も…」


「いや、亮佑はいい。

早苗ちゃん、行こう」


突然指名された早苗は驚いたが、

分かった、と小さく返事をして

2人で夜店へ戻って行った。




なんで直之は俺じゃなくて

早苗を選んだんだろう…。

ま、まさか円香は絶望的だから

早苗に乗り換えたとか?!

…いや、直之に限ってそれは…

ないと信じたい…。




もしそんなことになったら

実家帰ったら修羅場だからな!

覚えとけ!!




ぎっ、と2人の後ろ姿を睨みつけると

ぐっ、と円香に腕を引っ張られる。