「まぁ、スナイパーではないな」


「うるせぇっ!…くそぉ」




ずんずん先を行く女子2人に対し、

俺と直之はとぼとぼ背中を追っていた。




最後の玉は、目的の番号に

当たったは当たったのだが

先のほうに掠めただけで

倒れるには至らなかった。




円香はもちろん怒って、

『スナイパーなんてよくも言えたわね!

全国のスナイパーさんに謝れ!』

と言って、悔しがる直之を置いて

先に行ってしまった。

早苗もその後を追いかけ、今に至る。




「円香って…意外とツンツンしてるよな」


「あぁ…だけど、なんていうか。

それすら可愛く見えちゃうんだけど。

あれは絶対ベッドの中じゃMだな」


「…っ、この破廉恥!」




"ツンツンしてる円香も可愛い"

とか言ってる直之のほうがドMだ!!




…が、俺も人のことは言えず

言ったら最後、俺は自分を"M"と

認めることになるので言わないでおく。




「告白はしたか?」


「したと思うわけ?」


だよね。分かってました。


「告白の言葉は考えた?」


「射的しながらさー、

"俺の本当の獲物はお前だっ!"

っていうのを考えたんだが…。

ちょっとカッコつけ過ぎ?」


「…友人を代表してアドバイスしよう。

それはやめておけ。引かれるだけだ」


「ぁ、やっぱり?」




頭がいいくせに、

告白の言葉は浮かばないらしい。




どちらともなく、ため息をついた。