ヤキソバを平らげたあと、
俺もフランクフルトを買った。
直之の見てたら食べたくなっちゃって…
夜店って不思議だ。
歩きながら、早苗と円香は
玩具を売ってる店を見つけて
「コレ可愛い!」「こっちも可愛い!」と
女の子らしく盛り上がっていた。
「ねぇ、思い出に何か欲しい!
お揃いの物とか!」
輝いた目の円香に、嫌とは言えず…。
結局、革紐で出来たブレスレットを買った。
ガラスの玉が2個ついてて
男がしても大丈夫そうなシンプルなものだ。
さっそく全員左手に付ける。
苦戦していると、早苗が手伝ってくれた。
なんて優しいんだ…
いつもこうだといいのに…
甘い幻想を夢みていたら、
「人の顔をジロジロ見ないで!」
と一喝されてしまった。
ぁあ、もうちょっとデレが欲しい。
「射的やろー」
暢気な円香がニコニコしながら言う。
「俺、スナイパー級だぜ!」
直之が名誉挽回とばかりに
張り切っていた。
「じゃあ、あの人形取ってよ」
しれっと円香が、大きな熊の人形を指差す。
ここの射的は、
賞品を打ち倒すんじゃなくて
それぞれの賞品についた番号を
打ち倒すものだ。
手前にある番号の賞品は
シャボン玉セットとかそういう物で
奥にある番号の賞品は
ゲーム機とかだった。
円香が指定した人形は
それほど奥ではないが、
射的を邪魔するトラップの奥にあった。
結構難易度が高い。
「よっしゃあ!任せろ!」
そんな安請け合いしちゃって…
ここで格好悪いとこ見せたら
せっかくの虚勢も無駄になる。

