必死で、なんとか地面へと落ちてしまわないように、
大切に抱きかかえた。
「さ…くら。」
ほんとうに聞こえるか聞こえないかの小さな声が私を呼ぶ。
内臓がひどく傷つけられているせいか、絶えず口から血が流れ出ている。
それはつい、目をそらしてしまいたくなるほど。
それでもそらさずにじっと見続けるのは、きっと後悔したくないからだ。
目をそらしたらきっと後悔する。
平助を最後まで見てられなかったことをー…
「さくら、俺、お前の笑ってる顔が大好きなんだ。」
「…うん。」
震える、声。
落ちる、雫。
「だから、…笑って?」
あぁ、どうしてこうも無責任なのか。
どうして笑顔がつくれるのか。
そう思う頭よりも身体は先に反応していて、
血の乾いて少しカピカピとした顔の肌を緩ませて、
私は、笑っていた。

