私は平助を引っ張って、皆が気づかないうちにと、ひたすら駆けた。 「おい、お前!!」 ドキリ、と心臓が跳ねたのがわかった。 ゆっくりと振り返ると、そこには新撰組の隊士が。 …確か、三浦さんだ。 「お前、何をしている?」 見つかった、逃がそうとしているのが、バレタ。 さっと血の気が引いてゆき、頭の中が真っ白になる。 頭を回転させようと、何か打開策はないのかと必死に動かそうとするのだが、何も考えられない。