「容態は安定しているようだな」




先生は心臓の音を聞いたり、脈をはかったりしながら、ふむふむと頷いて言った。




僕は週に二度、こうして松本先生のとこに診察をしてもらいに行く。


普通は医者が患者を訪問してくれるものなんだけど、これは特別。


僕のこの病気は秘密だから。




「激しい運動とかは…していないだろうね?」





「していませんよ」


僕はそう言ったあとに「最近は事件が起きていませんから」と付け足した。




別に先生の言いつけで動いていないわけじゃない。


ただ何も起こっていないから、刀を握る理由も、戦う理由もないだけ。





「やれやれ…君は自分の体の容態がわかっていないのかい?」




「…あはははは。」



僕は先生の言葉につい笑ってしまった。


可笑しくて、面白くて、




「ははははっ…わかっているに決まっているじゃないですか」






そして、悲しくて…