「感染は…ほんとんどないって、言いましたよね?」




桜ちゃんの声が小さく震える。




僕は知っている。


君が傷ついていることを、


君が傷つくことを。


それでもなお、僕は君を傷つける。





「うん。そうだね。そう言っていたね」





だけど…


「それは、絶対、じゃない」




君に絶対感染させない、と言う保証はどこにもない。



それに松本先生は人にうつると言っていた。



桜ちゃんを信じていないわけじゃないけれど、
どうしてもうつしてしまうんじゃないかと考えてしまう。





僕は音も立てずに静かに立ち上がった。




「その服、早く着替えておきなよ。」




「沖田さん!!」


僕の着物の袂が軽く引っ張られた。



僕はそちらを振り向かずに顔を逸らす。


「離してくれないかな。じゃないと…斬るよ」




刀なんて持ってきてなどいない。


だけど自然にその言葉が僕の口から漏れた。





君を傷つけることをわかりながらも…