何も知らない。 何もかも知らぬまま私の世界は、回る。 私がチロリとお猪口のお酒をすすると、 すぐ隣でわぁっと歓声が上がった。 見ると永倉さんがどんぶりの器に注がれたお酒を一気飲みをしている最中だった。 そう、私たちは角屋に来ている。 伊東さんに誘われて、 私と斎藤さんと永倉さんだけが。 そして、私は再び視線を自分のお膳へと戻した。