「伝染らなければ、そばにいてもいいんですか?」




僕は薄く笑った。



そんなことあるはずがない、と自嘲する。

だって今までに一度だってそんな話を聞いたことがない。



かかれば必ず死ぬし、周りに感染する。



誰もが口を揃えて言うだろう。




桜ちゃんが僕の手をぎゅうっと握った。





「伝染りませんよ。」




桜ちゃんが放った言葉に耳を疑う。



「ちょっとやそっとじゃ結核は…労咳は感染しないんですよ。」





世界が覆された気分だった。




そのうれしさを噛みしめるように僕は握る手に力を込めた。




桜ちゃんの温もりを確かめるように。






僕は…まだそばにいていいのだろうか?







前と変わらずに、そばにいても…