前川邸は私にとって未知の世界だ。 音を立てないように慎重に玄関の敷居をまたいだ。 ここまで来たのはいいんだけど、 山南さんがどこにいるのかわからないことに今ごろ気がついた。 すると、どこからか小さく話し声が聞こえてきた。 私はこれを頼りに暗闇の中で足を進めた。 話し声は奥の方から聞こえてくる。 歩くたびにその話声に近づいていることが実感できた。