山は街の中よりも寒かった。 雪も溶けていなくて、冷たい空気が孤独感をよりいっそう強調させる。 少し積もった雪の上に一人の足跡があった 僕はそれを目印に山の奥へと進んだ。 時たま雪で足元が滑って転けてしまいそうになる。 山南さんはこんな山奥に独りで何をしにきたのだろう? 僕はその足跡を追い、どんどんと山南さんとの距離が縮まるごとに鼓動が高鳴っていった。