ホテルに一泊して、家に帰ると、その幸せは儚く感じてしまう。
「……あーあ。やっちゃった…」
ボソッとつぶやいた言葉は、静寂な部屋に響く。
いろんなことがあった一日。
凪さんが毎日エンペラーの倉庫に行ってるだとか、
鬼神とエンペラーの抗争があるだとか、
そして凪さんとの行為のこととか。
「ほんと、あたしバカだなぁ…」
あの時、何が何でもレッドローズへの勧誘を断っておけばよかった。
そうしたら、誰も苦しまなかったのに。
そうしたら、あたしと凪さんは出会わずに済んだのに。
今となっては、すべてが遅い。
あたしは元はごく普通の女の子。
だから、よけい、わかっちゃうんだ。



