「今夜は幸子と二人きりだ」
そう言って、凪さんはあたしを後ろから抱きしめる。
首筋に顔を埋めるから、髪の毛があたってくすぐったい。
「なぎさん…」
「幸子…」
「なぎさん…」
「…さちこ…」
あまい、あまい雰囲気。
覚悟をするのよ、黒沢幸子。
ホテルに連れて来られたということは、もうあれしかないじゃない!
「いますぐ、抱きたい」
そういって、凪さんの手はあたしのTシャツの中へ入ってくる。
相変わらずいつものジャージ姿。
ほんとうはこんな高級なホテルにジャージで来るなんて絶対しちゃいけないことなんだろうけど…。
倉庫からそのまま来たんだから仕方ない。



