「凪さん、どこ向かってるんですか?」
「ホテル」
「ほ、ホテル…」
「家だと、うるさい奴らがたくさんいるから静かにできないだろ?」
でも、ホテルって……。
そう思いながらも連れて来られたのは、高級なホテルだった。
さすがヤクザの若頭ですね…。
「神楽様、最上階のスイートを用意してあります」
「ありがとう。ディナーは部屋で食べる」
「かしこまりました」
たしか、凪さんってまだ22歳だったよね?
すごい偉い立場なんだな…と改めて思う。
そして、あたし、初めてのスイートルームです。
「ひろ、い…」
ベッドもキングサイズだし、部屋の何もかもがすごすぎる。
あたしに無縁の世界……。



