ーーーひと時の幸せなんて、呆気なく崩れるのに。
「幸子、もう帰るか?」
「うん…」
もう帰らなきゃ行けない時間。
レッドローズの溜まり場に2日連続で行かなかったな…。
毎日行かなきゃっていう決まりはないけど、なんとなくね…。
「送る、」
「いいですよ…」
とは言いつつも、まだ名残惜しいので一緒にいたい。
「幸子、」
「はい?」
「無理すんなよ…」
「…無理なんてしませんよ」
「そ、」
頭を撫でてくれる。
好きって気持ちが膨らむほど、それとは別の気持ちも膨らむ。
「あとで、連絡する」
そう言って連絡先をもらった。
あたしから電話することはあるのだろうか…。



