「見惚れた、あの時幸子ちゃんに」
「っ……」
「好きになった、」
そう言った彼の瞳は、すごく不安そうだった。
仮にも元エンペラーの9代目で、神楽組の若頭なのに、と思った。
だけどその瞳は、いつもより綺麗だった。
どきどきする。
憧れとか違う。
そんな感じじゃない、どきどき。
「…さちこ……」
少し掠れた声で、あたしの名前を呼ぶ声も。
何もかもがどきどきする。
あたし、どうしちゃったんだろう。
「めちゃくちゃ、心臓バクバクしてますよ」
「当たり前だっつーの。初めて告白したんだから」
「9代目でも恥ずかしいことあるんですね」
「俺だって人間だっつーの」



