一時間後、いつものジャージとキャップで駅前にいた。
「幸子ちゃん、」
「…失礼します」
ベンツの後部座席のドアを開けられ入り込む。
「…今日はどちらに?」
「今日は俺の屋敷に」
「……は?」
ちょ、ちょいまち。
俺の屋敷だあ?
「むりむりむりですっ!!」
「大丈夫だって。まだ昼間だし、みんな出払ってるから」
「そういう問題じゃなくて!!」
神楽組の総本山に出向けと!?
このあたしが!?
ああ…あたしの命も今日までか…。
弱い17のこの命…。
お父さん、お母さん、幸子は今日、云ってまいります。
「いや、死なないからね」
「ううっ…」



