シーンと静まり返って、誰もが声を発しない。
「駿、そこまでにしておけ」
また一つ、違う声が。
でもそれは、知っている声。
「凪さん!?」
「なんでっ…」
「お兄ちゃんっ…」
忘れたくても忘れられない、この声。
わずかな時間だったけど、幸せだったあの時間を思い出す。
「ちゃんと向き合うのは初めてですね、お会いしたかったですよ。神楽組の若頭、神楽 凪さん」
「それはこちらもだ、来栖組次期若頭候補で、日本極道連合・狂乱の14代目総長……花森雪矢」
最強と言われた二人が向き合う。
「お兄ちゃん…」
「愛理、大丈夫か?」
「うん…」
チラリと、凪さんがあたしを見た気がした。



