普段会社で見る坂口さんはいつもジャケットかスーツ姿で、こんなカジュアルな服装の坂口さんはなんか想像できなくて。



湿布の付け替えをして、ギプスを付けてあげて、着替え終わった坂口さんを見てみると。



普段は綺麗にセットされている髪は額にかかり少し幼く感じるけれども、開いたVネックの襟元から覗く鎖骨が妙に色っぽくて、色白の肌には水色がよく映えていて、細身のジーンズから延びた足はすらりと長く、シルバーのバックルが付いた少しゴツめの革のベルト。



そのファッションモデル並みの容姿と体型に思わずため息が出る。



何?コレ?
格好よすぎやろ?
足長すぎやろ?
同じ人間だとはとても思えん……



「今日は打ち合わせなんだけど、怪我もあるし、スーツじゃちょっとね…コレで大丈夫かな?」



と私に聞いてくる坂口さん。



「全然大丈夫です。素敵です!カッコいいです!」


「はは。ありがと、顔洗ってくるよ」


「一人で大丈夫ですか?」


「風呂にだって一人で入れたんだ、顔くらい洗えるさ」



そう言って笑うと私の頭をポンとひとつ軽く叩いて寝室から出ていく坂口さん。



私は叩かれた頭を両手で押さえて。



「えへへ……」



何だかわからないけど、くすぐったいような、ムズムズするような、不思議な感覚に陥ってしまって。



でも全然嫌な気分じゃなくて。



「さ。朝食の支度しなくちゃ」



そう口に出して呟くと、私は寝室のドアを開けた。