「これでよし。次は湿布貼りますね?」



袋から湿布を出してピリピリとセロファンを剥がし、俺の肩に宛がう遙。



湿布特有の独特な匂いとヒンヤリとした感触。



肩用のサポーターを巻けば付け替えは終り。



「ギプス…、付けた方がいいですよね?」


「いや、もう休むからいらないよ、そんなの付けて眠れない」


「そうですか、なるべくなら固定していた方がいいんですけど…」


「起きてる間はちゃんとしとくから。ありがとう。遙」


「いいえ。その為に来たんですから、何でも言って下さい、洋服、着せますね?」



子供のように遙の言いなりになり、Tシャツとスエットを着せられる。


「ふふふ。坂口さんもスエットとか着るんですね?」


「へ?スエットくらい誰だって着るだろ?」


「坂口さんって、眠る時はシルクのパジャマなのかと思ってました」


「シルク……、何で?」


「私のイメージです。ふふふ」



イメージ?



「俺って、遙の中でどんなイメージなの?」


「えーとですね。大人で素敵でお洒落でスマートで格好よくて…」



お?なかなかの好感触。



「って、今日まで思ってました」


「………、今日まで?」


「はい。今日は坂口さんの色んな所知れて嬉しかったです。なんか親近感わきました」



そう言って笑う遙の表情はとても柔らかく、初めてホントの笑顔を見たような気がして、今日一日間抜けな所ばかりさらけ出してしまっていたけど、そんな事で親近感を持ってくれたのなら、それはきっと俺にとってもいい事なのに違いない。



親近感。
親しく近く感じる。



このパワフルガールに俺は少しだけ近付けたのかも知れないな。