last.virgin




英明は消毒し終えると遙の額に絆創膏を貼る。



「これでよし。と」


「ありがとうございます。田村さん」


「ん。はい。眼鏡」



遙に眼鏡を掛けてやると英明は救急箱の蓋を閉め、再びエディの隣に腰を下ろした。



「で?エディは今夜どうするの?」



英明が隣にエディに訊ねると。



「そうだった…、空港から慌て飛んで来たらから、ホテル取ってないんだよ、シュージ、今夜は泊めてくれないかい?」


「は?」



おいおい。
いきなり訪ねてきて泊めてくれは無いだろ?
と言いたい所だけど、赤の他人ならいざ知らず、仮にもエディは姉の旦那。



「別に構わないけど…ベッドは二つしか無いよ……」


「二つあれば十分さ。シュージはハルカと同じベッドだろ?」


「はっ?」
「ほえ?」



遙と同時に声が出た。



「いやいやいや、それは無理だよ」


「何でだい?二人で一緒に眠ればいいじゃないか?」


「……エディ、だからそれは出来ないんだよ」


「どうして?」


「どうしてって……」



エディは俺と遙の事を変に勘違いしているらしい……



どうやって説明するか考えていると。



「ハルカ!ボクたちと一緒に寝ようよ!」


「うん!ボクもハルカと一緒がいい!ダディはシュージと一緒に寝なよ!」



………………それは嫌だ。



「マサ、ノブ。恋人同士は同じベッドに眠るんだよ。二人の邪魔しちゃイケナイな?」


「はひっ?!私っ!坂口さんの恋人なんかじゃありませんっ!」



遙はソファーから勢いよく立ち上がると、エディに向かってそう言った。