last.virgin




「ところでシュージ。そのケガは一体どうしたんだい?」



エディが遙の手を握り、ブンブンと握手をしながら聞いてきて。


「シュージもハルカに投げられたの?」


「シュージは弱いからなあ!」



双子が遙を挟んで俺の顔を覗き込んでそう言ってきて、少しカチンとしたけれども、相手はまだ五歳の子供。



「……事故にあったんだよ」



コケて脱臼したなんて死んでも言えるか。



このプチデビルズを苦手とする俺は強がってみせる。



大体子供は苦手なんだけれど、この悪魔のような双子の甥っ子達は特に苦手。



靴の中にスライムを入れられたり、ケチャップの中身をタバスコに入れ替えられたり、風呂に入ろうと浴槽の蓋を開けたら、大量の玩具の爬虫類が入浴していたり、靴を履こうとしたらボンドで床に固定されていたりと。



その威力たるや全てにおいて×2。



他にも語りきれない程数々の悪戯を、この見た目天使で中身悪魔な双子に散々やられてきた俺は、約一年振りに再会したにも関わらず、少しも嬉しくなんかなかった。



むしろ何しに来たんだよ?
早く帰ってくれないか?



と言いたい所だけど、今回は姉とじゃなく、エディが一緒に来日しているもんだから、そんな事言える筈もなくて。



ん?



てか。姉は?



「エディ。一子(イチコ)は?一緒じゃないの?」



するとエディは大袈裟にハッとして。



「オーーッ!そうだった!チコだよ!シュージ!チコ、ここに来てないか?」


「いや?来てないけど?」


「ノーーッ!」



頭を抱えて項垂れるエディ。



「あのね。シュージ、マム、ダディとケンカしたの!」


「おうち、出てっちゃったの!」


「はあ?」



またかよ………。