last.virgin

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その場に踞ってひたすら泣きながら謝り続ける遙を、何とか床から英明が引き剥がし、リビングに戻ると、小さな彼女は益々小さくなってフローリングの端にちょこんと正座していて。



その両脇には、姉の双子の息子。長男政宗と次男信長が遙にピタリ寄り添っていた。



話をまとめると要するに、エディを強盗と勘違いした遙が、和久井よりも大柄なエディを意図も簡単にのしてしまったと……。



「いやー、マジで凄かった!」



英明が若干興奮気味で身ぶり手振りを加えて、事細かに説明し終わると、まるでその光景が目に浮かぶようだ。



「こんなキュートガールに簡単に投げ飛ばされるなんて、ニホンはホントにスゴい国だね……」



いやいや、エディ。
日本が凄いんじゃなくて、遙が凄いんだよ。



と言いたい所だけど、今はそんな事より激しく落ち込む遙をどうにかしないと。



「遙、こっちにおいで」



遙に視線を移して俺が座るソファーの横をポンポンと叩く。



「ね?ハルカ。シュージのとこ行こう」


「ダディを紹介するよ」



双子に両腕を引かれてヨロヨロと立ち上がると、遙は双子に挟まれソファーに腰を落ち着かせた。



「ハルカ。ボクはエディ。よろしくね」



テーブル越しに手を伸ばして、遙に向かって白い歯を覗かせるエディ。



遙はゆっくりと顔を上げると。



「……あの…、お怪我は…、ありませんか?」


「うん?…ああ、全然ダイジョーブさ。受け身、とったから、言ったでしょ?カラテやってるって、だからもう謝らないで?」


「はい……日本語。お上手ですね?」



柔らかく微笑んでそう言うエディに遙は少し安心したのか、多少引きつりつつも笑顔を覗かせた。