last.virgin




その男はよく見ると外国人。



髪の色はブロンド。
瞳の色はアクアブルーで綺麗な顔立ち。



年齢的にはお兄ちゃんと同じくらいか?



思い詰めた瞳は若干血走っているみたいで、少し呼吸が荒いのか、肩で息をしていた。



何?……、強盗?



やっぱり都会は恐ろしい所。



私が居なかったから今頃坂口さんは……?!



私は一気にカッと頭に血が登ってしまった。



「チコはっ?!」



男はそう叫ぶと私の両肩をガシッと掴みかかってきて、私はその掴まれた右腕を掴み、ねじりあげて後ろに回り込んだ。



バンッ!っとドアが開けられて。



「遙ちゃん!」



田村さんの声が聞こえた。



「田村さんっ!来たらイカンっ!!はよ警察に電話っ」



男は後ろに回された腕を振りほこどこうとするけど、私がガッチリと掴んで離さないから、クルリと身体を反転させてそれを回避させた。



こいつ……、やるやん。



さすがに腕を振りほどく事は出来なかったみたいで、今度は私が男の腕を掴んだまま、身体を反転させ、男の懐に入り込んだ。



グッと男の腕を引きながら、背中に男の重みを感じるとそのまま一気に前に倒れ込む。



「ええぇぇえーーっ?!!」



田村さんの叫ぶ声と同時に男は宙を舞い、一回転しながら床に叩き付けられた。



苦しむ男をそのままうつぶせに蹴飛ばして、背中に馬乗りになり再び腕を後ろに捻りあげた。



これでそう簡単にはほどけんやろ……。



「ギブ!ギブ!」



足をバタバタとさせて、必死に床を片手でバンバンと叩く男。



「なんばしようとやっ!この強盗がっ!」


「ヘルプ!ヘルプ!」


「うるさいっ!じっとしとかんねっ!」