掃除だけでハウスキーパーに来てもらうなんて、どんだけセレブなんですか?坂口さんは。
なんて言いたい所だけど、独身男性一人暮らしでこれだけ広いマンションの掃除は大変なんだろうな。
と思わずにはいられない程、改めて部屋を見てみると、角部屋3LDK。
一人暮らしにしてはちょっと広すぎる、四人家族くらいで丁度いいような間取り。
リビングのソファーに一先ず坂口さんを座らせて、荷ほどきをしながら坂口さんに聞いてみた所。
このマンションは坂口さんの祖父母が以前暮らしていたらしく、現在は祖父母もアメリカで暮らしていて。
住人も居なくなって売りに出そうかとしていた所で、坂口さんの日本への留学先の大学が偶然にもこの街だった為に、売りには出さずに坂口さんが移り住んだとの事。
今日一日で坂口さんの事を沢山知ってしまった私。
山育ちで田舎者の私なんかとは、住む世界が違うんだなと改めて実感してしまった。
広々としたリビングを見渡すと、恐らく20畳程はあるだろうな。
うちなんかとは比べ物にならない位の大きなテレビ。
フカフカのラグ。
猫足のガラステーブル。
バナナの木を思わせるような観葉植物。
まるでテレビドラマに出てくるお部屋みたいでとても素敵。
荷ほどきを終えて取り合えず、荷物をリビングの片隅に置かせてもらう。
「あ。向こうの空いてる部屋使っていいよ」
と、リビングの隣のドアを指差す坂口さん。
「ベッドもあるから」
「ほえ?いいんですか?」
「うん。使ってない部屋だし、中から鍵もかけれるから、ちょっと来て」
言うと坂口さんは立ち上がり、そのドアを開けると電気を点けて私に手招き。
見るとそこはベージュで統一された部屋で、ベッド、テーブル、テレビ、一通り揃っていて、私の狭いごちゃごちゃしとたワンルームのアパートなんかとは大違いで、お洒落で落ち着いた感じの部屋。

