last.virgin

* * *





なんか不思議。
今朝この部屋を出てきて、また再びここに来る事になるなんて。



坂口さんが鍵を開けて、続いて中に入ろうと一歩踏み出したら。



「ぐえっ!」



ドアの入口に荷物が支えてしまって、首が後ろに引っ張られてしまった。



「ぷっ…、大丈夫?」



坂口さんに軽く吹き出されてしまった。



「だいっ、丈夫…っ、ですっ、フンッ!」



結び目を両手で掴んで、グイッと引っ張りスポンと中に入り込む。



……ふう。
ちょっと荷物多すぎたかな?
今日ばあちゃんから送ってもらった、お米やらお菓子やらラーメンやら、そのまま丸ごと持ってきちゃったからな。



「くくくっ…、どうぞ?上がって?」



パチンと電気を点けて、笑いをこらえている坂口さんに促され、お邪魔します。と告げて、出されたスリッパに足を入れた途端にある事に気付きハッとする。



そう言えば昨夜私が汚してしまったシーツは?どうなったの?もしかしてそのままなんじゃ……。



直ぐにでも坂口さんを休ませてあげたいのに、あのままだったらダメだ!



私は慌てて風呂敷を玄関先に置いて寝室のドアを開け、電気を点けると、そこにはホテルのように綺麗にキッチリとシワひとつなく整えられたベッドがあった。



「……綺麗になっとる…」



呟く私の後ろから坂口さんが。



「ん?…ああ、今日はハウスキーパーの日だったんだ」


「ハウスキーパー?」


「うん。週2、掃除だけ来てもらってる」



ハウスキーパーってお手伝いさん?
家政婦、みたいな?
市原悦子さん、みたいな?