坂口さんにナビしてもらいながら緊急外来の病院へ。



助手席に座る坂口さんは車の振動も辛いのか、顔を歪めて青白くなって、痛みに耐えている様子。



………もし。
骨折とかだったらどうしよう…



坂口さんの仕事に支障を来してしまうかも知れない……。



会社でも坂口さんの仕事振りは誰から見ても優秀で、先日も大手化粧品メーカーと来季の契約の続行が決まったと、社内ではもっぱらの噂だった。



そんな会社の大事な貴重な人材に怪我をさせてしまった……。



…………うああっ!
どどど…どうしよう?



私は急いで車を走らせて、時々交差点で後ろのタイヤが鳴ったりしたけど、早く病院にたどり着く為にハンドル操った。



やっと病院に着いて駐車場に車を停めて降りると、助手席のドアを開けた。



「坂口さん、着きましたよ?」



すると坂口さんは助手席から飛び出して、口を押さえて近くの植え込みに駆けて行き。



「…うぐっ…ぐうえぇぇ〜〜…」



リバースしてしまった。



「だっ…大丈夫ですかっ?坂口さんっ!!」



駆け寄り背中を擦ると坂口さんは。



「…ハァハァ…遙の…運転…かなり…キツい…うぷっ…」



再びリバース。



坂口さん…
私の運転で車酔いしたの?



「すみません…急いでたもんですから…」


「ハァハァ…君は…うぷ、ホントに…色々と…ハァ…規格外だな…は…ははは…うぷっ…」



リバースしなから笑う坂口さんの背中を必死に擦る私。