…何で先輩って決めつけるんだ?
二人で食事に来てるのに、もしかしたら彼氏かも知れないとか思うのが普通じゃないのか?
それにいくら同級生とは言え、ちょっと馴れ馴れしくないか?
「……俺も、日替わりで…」
「はい。かしこまりました、日替わり二つですね?暫くお待ちください」
注文を取ると和久井は最後に遙の低い鼻をムニッと摘まんで。
「あがっ!あにふんのっ?」
「あはは、また子猿が怒った、じゃ、ごゆっくり」
手を離し笑いながらオーダーを通しに行く和久井の背中に遙は、ばかぁっ!と叫びながら、それでも何処か嬉しそうで、その表情を見ていると無償にイラついしまった。
「……随分と、仲良さげだね?」
「ほぇ?そうですか?でも、こんな所で地元の知り合いに会えて嬉しいです…坂口さんにここに連れて来てもらわなかったら、知らないままでした…」
……違う店にすればよかった…
「…さっきの方言…遙の地元って何処?」
さりげなく呼び捨てにしてみたけど、遙はそんな事気にも止めずに。
「九州です」
「九州の何処?」
「福岡です、あ。でも博多とかじゃ無いですよ?福岡でも凄い田舎で…山の中です…」
「博多には仕事で一度行った事あるよ、中洲だっけ?屋台のラーメンがスゲー旨かった」
「そう!中洲のラーメンは世界一ですっ!ああ…食べたくなってきた…こってり豚骨…明太子…高菜漬け…」
何やらぶつぶつとご当地グルメを呟き出した遙。
親元を離れて約二ヶ月弱。
地元の味か恋しいのか、遙は次第に表情を曇らせた。
……旨い豚骨ラーメン屋…
ググッて調べとくか。

