「あ、目、覚めました?」
私はベッドに腰掛けて、坂口さんの顔を覗き込んだ。
「…………」
無言で私を見つめる坂口さん。
「…あの、大丈夫、ですか?…」
具合の悪かとやろか?
カーテン越しからの月明かりだけで見る、坂口さんの顔色はわかりづらくて、私はさらに近付けて見ようと、ベッドに手をついて、坂口さんに顔を寄せた。
すると坂口さんは近付いた私の後ろ頭に手を伸ばし、そのままのグイッと引き寄せて。
「!!っ」
ついていた手が肘からガクッと倒れてしまって、坂口さんの身体に倒れ込んでしまい。
「んむっ?!」
その拍子に坂口さんの口を私の口が塞いでしまった。
咄嗟の出来事に、目を見開き暫し呆然。
「むわっ!…すっ、すみません」
慌てて顔を離すと坂口さんは。
「……もっと…」
そう言って私の顔を両手で挟み、再び私の顔をグッと引き寄せ、私の唇を塞いできて。
さらにクルリと身体を反転させ、私の身体はいつの間にか、坂口さんの身体の下敷きになってしまった。
その間唇は塞がれたままで、私は息苦しくなり、坂口さんの身体の下でその背中をポフポフと叩いた。
「?!っ」
口の中に何か温かい物が入り込んできて、その初めての感覚に私は驚き、今の自分の状況をやっと理解し始めた。
キッ、キスされてるっ!?
しっ、しかも、大人なキスされてるっ!

