若干迷いながらも坂口さんのマンションに到着。
地下の駐車場に坂口さんの車検証に載っていた部屋番号が書いてある縁石があったので、恐らくここが坂口さんの駐車場だろうと思いつつバックで駐車。
坂口さんのシートベルトを外してあげながら。
「坂口さん?マンションに着きましたよ?」
「……ん〜…」
返事らしき返答はあったものの、項垂れたままの坂口さん。
…はぁ…仕方なかね…
私は鞄を肩に担ぎ車を降りると、助手席から坂口さんを引っ張り出す。
「立てますか?」
「…ん〜」
なんとか立てるみたいで、私は坂口さんの身体を支えつつ、エレベーターへと向かう。
住所からして多分七階。
エレベーターが開くと坂口さんを連れて、七階のボタンを押し、ゆっくりとエレベーターは上に上がっていく。
七階の707号室。
見るとちゃんと表札に坂口と書かれてあって、無事にたどり着けたとホッとした。
車の鍵と一緒に付いているのが恐らくこの部屋の鍵だろう。
差し込み回すとカチリと鍵が開いた音がして、ドアを開けて中に入る。
真っ暗な中電気のスイッチも何処にあるかわからず、とりあえず部屋に上がる。
坂口さんの靴は玄関のその辺に投げ捨てた。
いちばん最初のに見付けたドアを開けると、運よくそこは寝室。
坂口さんを支えながらなんとかベッドに坂口さんを寝かせる事に成功。
「…ふぅ」
軽く息が上がってしまった。
……スーツ、脱がさんとシワになるやろね?
「……はあ…」
ため息をひとつついて、坂口さんのジャケットに手を伸ばした。

