飲み会は以前コンパが行われた居酒屋の二階。
会社からも近くて、何かある度によく利用しているらしい。
会費五千円は痛いけど、食べ放題なので明日から素麺生活だと思うと、飲む事よりも食べる事に集中した。
だってお酒なんか飲むと食べきれなくなるし、お酒ってあんまり美味しくないんだもん…
それにしてもこんなに沢山のおご馳走…
お持ち返りしたい…
あ。そうだ。
お弁当箱に詰めて持って帰ればいいやん?
鞄の中をゴソゴソと空のお弁当箱を探していると。
「里奈ちゃん?ここいい?」
私の隣に座る里奈さんの向こう側に、田村さんが腰を下ろした。
食べる事ばかりに集中していた私は、辺りを見渡してみると、みんなそれぞれいつの間にか席を移動していて、ひたすら黙々と食べていた私は、一人取り残されたような感じになっていた。
………私ったら…
会社の飲み会なのに…観察するどころか、自分の胃袋満たすのに必死になってしまった。
……恥ずかしい。
しかもお持ち帰りなんて…
これじゃいつまでたっても、大人で素敵な女性になんてなれないよね?…
「……はぁ…」
ため息をひとつ吐いて、掴みかけていたお弁当箱を、再び鞄の奥に押し込めた。
隣をチラリと見てみると、里奈さんと田村さんが肩を寄せあって、クスクスと笑いながら話し込んでいる様子。
……なんか…いい雰囲気。
私は居場所が無くなってしまったみたいな疎外感を覚え、トイレにでも行こうかと席を立ち、一階にあるトイレへと向かい階段を降りた。

