last.virgin





就業時刻が過ぎてもまだ社内には沢山の人達が残ってて、とくに営業や広報の人達は、始業就業なんか関係無く、遅く出社してきたり、社外に出たりと割りとフランクな感じ。



服装もとくに既定はなく、普通にパーカー、ジーンズの人達も居れば、髪の色だって若い人達は茶髪に染めたりと、男の人達だってみんなお洒落。



クリエイティブな仕事って、自由でかっこよかなぁ…



よくこんな田舎者の私が、この会社に雇ってもらえたのかは謎だけど、私の理想を凝縮させたようなこの環境。



田舎者の私のにはなにもかも眩しくて、毎日がキラキラと輝いていた。



ただ…理想と現実のギャップが激しく、中々思い通りいかなくて、毎日代わり映えしない日常の繰り返し。



お昼休みになると殆どの人達が、今日はあそこのランチにしようか?等と楽しそうにお喋りしながら、出掛けたりしているなか、私は自作のお弁当。



こっちに友達なんか一人も居ない、休日だってまだ土地感もなくて、何処に出掛ける訳でもなく、お金もないし…



最近はホームシックもあってか、ちょっぴり落ち込みモードの私…



「遙ちゃん?どうしたの?疲れちゃった?」



休憩室でメイクをアフターチェンジさせている里奈さんが隣に座ってまたしても、ぼんやりとしている私の顔を覗き込んできた。



「ほあ?…あっ、いえ、疲れてなんかないですよ?里奈さんって綺麗だなぁって思ってました、あはは」


「別に普通だよ、遙ちゃんの方がわたしなんより、よっぽっど可愛いから、羨ましいよ」



ふふふ、と笑う里奈さんがとても綺麗で、それに里奈さんにそう言ってもらうだけでも凄く嬉しい。



今日は素敵な女性になれるごと、里奈さんとか他ん人達ば、しっかり観察せんと…