last.virgin





ファンって………
何を言ってるの田村さんは?



「いやー。こんな娘他に居ないよ?こんなにちっちゃくて可愛いのに、軽々と大男投げ飛ばすんだから!」



と、田村さんは私の肩に手を置いて、得意気に胸を張る。



ファンって……、田村さん……
たったそれだけで私のファンになられても……
そんなに衝撃的やったとやろか?



「大男投げ飛ばす?やっぱなんかあったとや?遙」


「ほえ?なっ…ないない!何にもないっ!あっ!そんな事より和久井君っ」


「なんや?」


「お兄ちゃんが来とるとよ!」


「え?!円さん?」


「うん。だから、私の周りに居ない方がいいよ……」


「え?何々?誰?円さんって?新たな刺客?」



私と和久井君の顔を交互に見ながら、そう言う田村さんを私と和久井君はスルーして。



「いや…、逃げたりせんよ、俺は…」


「……和久井君」


「あの時はまだガキやったけど、あの頃の俺と今の俺は違う」


「でも……」


「ははっ。大丈夫や、心配すんな。円さんだって少しは妹離れしとるやろ?遙がこんな遠くで一人暮らし出来とるんやから」



いやいや。和久井。
お兄ちゃんはちっとも変わっとらんよ。



「何言われても、今度こそは…、そしたら遙…、また俺と…」


「遙っ、遅刻する!」



坂口さんの声がして、慌てポケットから携帯を取り出し見てみると。



「わっ!始業五分前っ!行きましょう!田村さん!坂口さん!」


「あっ。遙っ!」


「じゃあねっ!和久井君っ」



まだ何か言いたげな和久井君をその場に残し、三人でビルの中へと急いだ。