「遙っ!」
会社ビルまで後数メートルと言う所で、私の名前を呼ぶ声がして、振り返り見てみると。
「和久井君?」
路肩にバイクを停めて寄りかかっていた身体を起こし、和久井君は私に向かって近付いてきた。
「電話せろて言うたやろうが」
「ほえ?何で和久井君がここに居ると?」
「そりゃ…、お前の事が…心配やったから…」
何で私の事心配すると?
和久井君が心配するのはむしろ坂口さんの方やろ?
「よく私の会社がここだってわかったね?」
「それ、昨日首から下げとったやろ?」
私の社員証を指先でつつく和久井君。
「有名な会社やから直ぐにわかったよ、よく子猿を採用してくれたよな?あははは」
「むっ!なんてや!」
「あはは、子猿は直ぐ怒る」
「あがっ!あにふんのっ!」
昨日と同様私の鼻を摘まむ和久井君の腕を振りほどいた。
「ねぇ?君。誰?」
私と和久井君の間に田村さんが割って入ってきて、和久井は少しだけムッとした表情になり。
「……貴方こそ、誰ですか?」
「あれ?質問で返す?最近の若者は礼儀を知らないねー」
「あっ、すみませんっ、田村さん、彼は地元の同級生なんです」
「あー。もしかして昨日の?だろ?修二」
田村さんは和久井君を指差し、坂口の方を見るとそう言った。
「……そうだよ」
ぶっきらぼうに答える坂口さん。
「貴方こそ失礼じゃ無いんですか?人を指差すなんて…」
「え?あ。、悪い悪い、俺はね?遙ちゃんの同僚なんだけど、彼女のファンでもある」
「は?……、ファン?」
「そう。昨夜彼女の大ファンになった」

