……ははは…
…………………。
そうだよ、坂口さんと私は何でもないんだから、きちんと誤解は、解かないとね。
坂口さんは私が大人になる為のお手伝いをしてくれた、言わば恩人。
坂口さんは酔っていて、誤って私を一回抱いただけで、凄く反省してくれて、きちんと謝罪もしてくれて……
そんな坂口さんに迷惑なんかかけちゃいけない。
私は、坂口さんにとって何でもないんだから……
「すみません、私、ついカッとなって、お兄ちゃんに誤解されるような事を言ってしまって…」
「え?ああ、それは構わないよ、むしろそっちの方が…、いや、遙が兄さんに誤解されてるみたいだから、こっちに来てまだ日が浅いのに…、家族に変な誤解されたくないだろ?」
坂口さん。
そんな事まで心配してくれて。
なんて優しくていい人なんだろう。
「……大丈夫です。お兄ちゃんにはきちんと説明しますから…」
車から降りながらそう言うと。
「お前ら遅かったな」
田村さんが自分の車に寄りかかり、煙草を携帯灰皿に押し付けている所だった。
「田村さん、待っててくれたんですか?」
私は自分のリッュクと坂口さんの鞄を肩に掛け、田村さんに駆け寄り。
「……すみません、忘れ物しちゃって…、それに、ちょっとしたトラブルが…」
「トラブル?」
「あー、何でもないよ。早く行こう。時間ギリギリ」
「ちょっ、俺を置いて行くなよ」
坂口さんは私の肩に手を置いて足早に歩き出すと、田村さんもその後に続く。

