「お前…もう少し節操持てよな…」


走り去った遙の出て行った戸口を呆然と見つめていると、英明が呆れたような声を出す。



その声に我に返り、俺は深く息を吐く。



「…そんなんじゃないよ」



手に持ったままの彼女の眼鏡を、さっきクシャクシャにして突っ込んだ、封筒の入ったポケットにしまい、紙コップを取りコーヒーを注ぐ。



「…はいはい。…で?あの娘は誰だ?あんな娘居たっけ?」


「経理の新入社員…」


「ふう〜ん…」



コーヒーを二つ注ぎ、そのひとつを英明に渡す。



「…ちょっと、ロリ入ってて…可愛い娘だな?」


「は?…まだ子供じゃん?」


「わかってないね?お前?」


「……何がだよ?」


「ああい言うのを原石って言うんだよ」


「原石?」



英明の言っている意味がわからず聞き返すと。



「まだ磨かれていないって事だよ、さっきの言葉、方言だろ?田舎から出てきて、まだ誰からも磨かれていない、初なダイヤの原石…やべ…そそる」



瞬間。ドキリと心臓が脈打つ。



…昨夜…磨いてしまった…



「……英ちゃん、最低限のルールはどうした?」


「それはそれ、これはこれ…」



何調子いい事言ってやがる…



「決めた」


「え?…何を?」


「あの娘…俺が先に貰う」


「は?」